サウザー
「退かぬ、媚びぬ、省みぬ」
 将星──独裁の星を宿星として持つ男。南斗六星拳最強の南斗鳳凰拳の伝承者である。その圧倒的なまでの拳の威力に加え、生まれながらの帝王の体、すなわち秘孔をはじめとする身体構造が全て逆である特異体質は、ラオウにすら闘いを逡巡させた。

 幼き頃より自分を育て鍛えた先代伝承者オウガイを敬愛するが、一子相伝の拳ゆえに、自ら師父を手にかけねばならなかった。「愛ゆえに人は悲しまねばならぬ!! 愛ゆえに…」サウザーの叫びは、そのあまりの愛の深さが愛を切り捨てさせた、悲しみの叫びである。

 しかし、統一支配を圧し進める中、彼が執着し建立したのが聖帝十字稜である。この稜そのものがオウガイの墓標だったのだ。ケンシロウとの死闘の果て、彼がその死地として選んだのはオウガイの亡骸の傍らだった。幼い少年ごとく眠るサウザー。乱世にあってもっとも愛深き戦士であった。