



北斗二千年の中で最も華麗なる技を操る男。北斗四兄弟の次兄であるトキは、拳法の天賦の才に恵まれ、またその心は清廉にして潔白。北斗神拳を継ぐべき条件を全て備えていた。だが、運命の核の日、ケンシロウとユリアを救うために死の灰を浴び、その体は病にむしばまれてしまった。拳の道を捨てたトキは、病に悩む人々のために医師として生きようとする。
しかし動乱の世はトキに安穏を許さなかった。実の兄であるラオウは覇道を求め続ける。幼き日よりラオウの庇護にあり、強者ラオウにあこがれラオウを目指したトキは、この戦乱の世で、ひとりの拳士としての血を熱くたぎらせ、ラオウとの闘いに命を燃やした。
トキの拳は、相手の闘気を飲み込み受け流す静水の拳。ラオウの激流のような拳とは全く対極的なものだった。病さえ無くば、トキの柔はラオウの剛を抑え込むことが出来たのかもしれない。しかし宿命の果て、死期の迫ったトキは力及ばず敗れ去る。
常に自分を知り、周囲を知り、時代のために動く男、トキ。その最期は、時代に殉じるためリュウガの拳を受けて散った…。その力はケンシロウへと継承されていく。